Wednesday, 24 February 2016

ドイツのブリーディング事情 Elo(エロ)犬







先日、知り合いの家にお邪魔すると、変わった風貌の犬が猫と一緒にお出迎えしてくれた。

一瞬、「何これ、雑種?」と、思ったけれど、もちろんそんなことは口に出さない。

”雑種”という響きに敏感な飼い主さんも残念ながら多い。

なので、一応決まり文句は、「何の犬種(Rasse)なの?」



Elo-hunde-glatthaar


Elo(エロ)という、ドイツ原産の犬。

日本語のWikiには、愛玩犬となっているが、家庭犬の間違い。

そもそものきっかけは、子供のいる家族向け、社会性の高い犬(kindergeeigneten Familien- und Gesellschaftshund)を、繁殖させたいと言う思いから始まった。


最も主なベースとなっている3犬種は、
ユーラシア、オールド・イングリッシュ・シープドッグ、チャウチャウ。

その後、小型版(と言っても、日本で言うところの中型犬以上の大きさ)として、
ジャーマンスピッツ、ペキニーズ、日本スピッツ が加えられ、Klein-Eloと呼ばれている。


つまり雑種なんじゃないの?という意見もありそうだけど、こちらドイツでは、徐々に知名度を上げている犬種になってきた。

確かに見た目はバラバラで、どの要素がその犬種に当てはまるのか、見極めるのが難しい。

というのも、このEloは、見た目は二の次で、性格と健康面を最重要課題として、ブリーディングされてきたからだ。(ただし外見でもある、立ち耳、真っ直ぐな背骨は、健康面から優先されている。)

また、従来のブリーディングのように、親がーーだから、子もーーとはならず、認定されたブリーダーの元で育った犬だけが、Eloとして認められる。

なぜなら、子犬の頃から、様々な外からの刺激、子供や他の動物(ペット、野生動物、家畜)、と一緒に育つことで、遺伝的な要素プラス社会化の環境で、より穏やかな犬に育て上げるのだそう。


より詳しい情報を知りたい方は、こちらでEloの歴史や、ブリーダーの連絡先が得られます。
(ドイツ語、英語)
それと、色々なEloに出会えます。なんとなく、昔日本にいた農家の犬っぽくて、懐かしいかも。
http://www.ezfg.de/index.php/en/der-elo/geschichte



その他、ドイツで気になる最近のブリーディングで、 
元のカタチに戻すというのがあります。

日本でも人気のパグ犬、過剰な繁殖の末、呼吸器官への弊害が多く見られるようになったのは、有名な話。

「鼻が潰れてかわいい」と思った人間のせいで、どんどん鼻が低くなり、今では生まれた時から疾患を持ったパグ犬が増えている。

それを回避するために、何というのか、”逆戻り”で繁殖させるブリーダーが増えてきた。
つまり、元の犬の姿に戻してあげる。鼻も足も長いパグ。

最近では、スポーツモップス(パグ)と呼ばれる元気に走り回るパグを見かけるようになった。


前にも書きましたが、ジャーマンシェパードに至っては、
見た目重視(ドッグショウ重視)で繁殖させられてきた、腰の下がったシェパード(これをカッコいいと言っている奴がまだ居るのには辟易。)を、真っ直ぐな背骨に戻そうという動き。

この場合、歴史が好転の鍵を握り、西ドイツでは見られなくなった、昔のままのシェパードが東ドイツで守り続けられていた。

それを今は基本ラインにしようという動きがある。


また、ドーベルマンに至っては、子犬の時期に耳と尻尾を切断するのは非倫理的とし、今やドイツ(または一部のヨーロッパ)では禁止されている。
つまり、ドイツのドーベルマンは全て垂れ耳で、昔の尖った耳を連れている飼い主は、怪しい目で見られること間違いない。



などなど、話せばキリがないテーマですが、
限りなく細分化されてきた犬の繁殖に終止符を打つ時が来たと強く感じます。


犬は犬らしく!

犬は犬でしかない!

だから犬が好き!










4 comments:

  1. さすが犬のお国ですねぇ。
    今年の Westminsterのハーディング部門でも腰の落ちたGシェパードが部門優勝していて、ちょっとがっかりしました。

    その時、このEloに似た犬も見ました。北欧のスピッツ系だったのかなぁ?雑種じゃないのって思いました。笑

    Eloってラブベースじゃないってところが嬉しいですねぇ。
    家庭犬の犬だと、盲導犬とかのブリーディングプログラムを広げる形になるかなぁとおもってましたが、原始犬に近くするほうが健康的なのかもしれませんね。

    見た目へのこだわりは、健康面を最優先にするのが原則だなぁと思います。

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    1. イギリスってちょっと変わったお国~と、ヨーロッパ人に思われていることもあり(最近政治方面で特に。)独自の価値観で進んでいるなぁとよく思います。犬種登録も独自の基準があったり、、、。良い面もあるんでしょうが、国際社会、足並みを揃えることも必要だったり。。

      家庭犬で、たぶん一番の問題とされるのが、狩猟本能という認識があるんだと思います。なので、遺伝子レベルに一切猟犬は入れなかったのかと。私は猟犬好きなので、これは好みの問題だと思うんですが、何を持って家庭犬?という問いも出てきたり、おもしろい試みだなぁと。

      あとは、そうですよね、見た目ではないブリーディングがこれからどれだけ認められていくか、頭の固~い団体がどうでるか、注目していきたいです。

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  2. エロ犬の2頭飼いしている人と以前 散歩中よく会いましたが 最近見かけなくなったので引っ越ししたのかも?
    そのエロ犬と最初に会った時 私もミックスかと思ったんですが、飼い主いわく「理想的な家庭犬として何種か交配してうまれた犬種」

    私も今晩 ちょっと似たような内容のブログ記事を書きました。
    「犬達が壊れていく」と言うイギリスのドキュメンタリーは御覧になりましたか?

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    1. やはり、そちら、色んな犬が豊富なお散歩コースには、Eloくんもおられましたか。どんな感じでしたか?私の会ったEloは、結構お転婆でした(^^;)でも、赤ちゃんを含む3人の子供と猫と一緒に暮らせているので、合格なのかな。

      そのドキュメンタリー、↑のCocoさんも紹介されていて、見てみたいなぁと思っていたので、探してみたいと思います。
      ちなみに、Eloは、好きなメス、オスと勾配させるので、インブリードは起こらないそうです。見た目重視で、無理やり(人工で)繁殖させるなんて、本当に狂っています。。

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