毎日の犬の散歩コースの森には小川が流れています。
農場の冠水のために残されている小川で、一時期は農薬や過剰な肥料の投入で、悲惨な状態だったそうですが、ここ数年、長年の自然保護政策の成果もあって、魚が住めるほど水質が改善されました。
そこでこの度、地元の釣り協会の協力のもと、ここの集落でサケの放流をする運びとなりました。
犬がバシャバシャやってしまってアレですが、一応澄んでいます。 |
これが、放流されるサケの稚魚たち。
かわいいですねー。メダカを飼うのが夢なので、見惚れてしまう。
一応集落全体に声を掛けたんですが、集まったのは子供も入れて20人弱。
まぁそんなもんです。金曜の夕方だったし。
でも、子供が半数以上だったのが、せめてもの救い。
数年後すぐに結果の出る活動ではないので、今の子供が大人になった時くらいに、
ああ、そういえば、子供の時に、、、と思い出して貰えるのが一番の目的ですから。
女の子たちは、魚よりも初めて見る日本人の私に注目してましたが、それでもいいんです。
いつだったか、村に日本人がやって来て、なんか魚のことがどーとかって、、と思い出してくれれば。
みんなで放流場所を求めて歩きます。
こういう根っこなんかが蔓延っている、魚の隠れ場所があるところがいいんだよ、と教えてもらいながらポイントを探す。
そして、遂に放流。
大人ながらに、私も感動しました。
なんでしょうね、放流した瞬間に、この魚達が海に渡って、色んな経験をして、また川に戻ってくる一生を思い浮かべてしまうというか、、たいやき君の気持ちというか、、、。
さっくりと20分もかからないうちに無事終了。
そして、ここからが裏話。大人の事情。
大昔は、サケがここまで登って来ていたことも事実ですし、水質の状態も安定してきたのは確かです。
だから、まったく無理な話ではないのですが、
今回放流した魚が本流の川に辿り着くまで生き延びて、成長し、海に下って行くまでさらに生き延びて、海で成魚の期間を過ごし、またこの小川に還ってくるとは、誰も信じていません。
そんなに簡単にいくものではないのです。
では、なぜこんな無駄なことをしているのか?
その理由の一つには、自然保護活動を続けるに当たって、行政に圧力を掛ける為でもあります。
単に、川が汚れるので、農業用水を直接流さないで下さい、農薬、肥料の規制を見直して下さい、
と、言うよりも、
この小川は、サケの生息地です。”と、言ったほうが、説得力があるからです。
今は殆ど使われていないのに、これがあるために、魚は下ることが出来ても、上流へと昇ることが出来ません。
ほとんど使われていないというのがミソだと思うのです。
まったく使われていないのならば、すぐにでも撤去出来るのですが、少しは発電しているそうです。
でも、その発電所を設置したままにしておく為に、それを迂回するような形の、新たな川の道を作る計画も挙げられており、これに何千万円という莫大な資金が掛かるのです。
そのお金で、もうちょっとマシなエネルギー取得方法があるんじゃないの?と、念を押したい。
こう書いてしまうと、夢も希望もない話のように聞こえるかもしれません。
もちろん、数%の魚は、海まで辿り着くことも出来るだろうし、そう祈っています。
でも、一度だけで結果が出るのではなく、継続していくことが重要なことなんだと、こういう企画を通して改めて思ったのでした。
サケを見つけたポインター。 (偽) |
いつか、この辺一帯のレストランで、イクラ丼が名物になっていることを祈って。