ある日の午後、近所の子供と庭で犬と遊んでいた。
天気も良く、嬉しそうにじゃれ合う二人(子供と犬)を微笑ましく眺めていた。
すると突然、マイがあさっての方向に突進するではないか。
その方向を見てみると、トコトコと知らない犬が歩いてくる。
あっと言う間もなく、マイに付けてあったロングリードが、私の足に絡まって私は転倒。
子供は驚いて、大丈夫?と私に駆け寄るが、私はマイを呼び戻すことしか頭になく、さっと立ち上がって対処した。
犬の後ろを60歳くらいの女性が歩いていたが、その時は何も思わず、というか、犬と子供が驚いたことに気が取られていたので、他のことを考える余裕はなかった。
 |
夏の様子。こんな小径が右往左往に延びている。 |
次の日の朝、起き上がろうとすると、体の右半分が痛くて起き上がれない。
うう、、次の日に痛くなるなんて、歳のせいかも。なんて考えながらも、午後は仕事に行って、なんとか一日をクリア。
夜、お風呂に入ろうとすると、腰から膝にかけてうっすら痣が出来ている。
こんなに強く打ったのかと、お風呂の中で記憶を辿っていると、完全に両足がリードに引っ張られ、地面に垂直に叩きつけられた光景が思い浮かぶ。
派手に転けたもんだ。そりゃ、子供はびっくりしただろうなー。
そこで初めて、相方に、こういうことがあってね、、、と話をする。
ちょうどお隣さんも来ていたのだが、みんな揃って眉間に皺が寄り、
「何それ?その女の人、何も言わなかったの?」
そこで私も初めて、
確かに、挨拶もなし、しかもそんなことの後、何か一言あっても良かったんじゃないの?
…て言うか、
私有地なんですけど!
 |
裏庭から木々を潜って、森に入る小径。 |
前に住んでいたところもそうでしたが、森が隣接し、裏庭から直接森へ入ることが出来るので、犬を飼っている者にとっては、最高の立地条件。
ただ、前の家は、敷地を囲む柵があったので、知らない人が入ってくることはなかったけれど、今回の家の回りには、一応区切りの杭は打ってあるものの、境界線が分かり辛い。(杭の内側は一応芝生になっている。)
しかも、隣接する森が広大ということもあって、あらゆる方角からこの森に辿り着くことが出来るので、迷っているうちに、あっこんなところに民家が、ということもあるのだろう。
それに、やっと辿り着いた道が目の前にあるのに、来た道を戻って、何キロも遠回りする気になれないのも分かる気がする。
こちらドイツでも、立て札や囲いがされていない私有地への立ち入りは、認められている。
釣り場へ向かう道でも、境界線があいまいな私有地を通らせてもらうこともあったり。
よくあるのが、"Anlieger frei"という立て札。
居住者につきフリーとも訳せるが、このAnliegerには、土地の所有者という意味も含まれ、釣り許可書の所有者やハンターといった、その土地の管理費を支払っている者を指す場合もある。
 |
森の入り口によくある柵。ひょいっと飛び越える遊び道具は、車の侵入を禁止している。 |
さて、うちの場合、上記した様に、立て札も柵もないものだから、季節の良い時期や、きのこシーズンともなると、高齢のご夫婦などが、森の出口から裏庭に入ってくることがよくある。
毎日のことではないので、気にも留めていなかった。
ところが、お隣の奥さんが言うには、私が見た女性は、毎朝のように犬の散歩コースに使っているのだと。
森が少し高台になっているので、この道からお隣の家は丸見えになっていて、あまり良い気分はしないと思っていたところに、私の事件。
たぶん、その女性も後ろめたい気持ちがあったから、そそくさと逃げるように歩いて行ってしまったのかもしれない。
でも、これは完全にマナー違反。
今度見かけたら、立ち入り禁止を言い渡そう、ということで、話が付いた。
こんな風に、個人的に、立ち入りを禁じることも出来るらしい。
まぁ、私有地なのだから、当たり前のことなのかもしれないけれど、私だったら、直接禁止を命じるのは、ちょっと気を遣ってしまいそう。
残念ではあるけれど、あの時、ちょっと違った対応をしてくれていれば、こんなことにならなかっただろうに、、、。
田舎生活、私も気をつけようっと。