乗り換え空港は嫌い。
買い物もしない私は、できるだけ乗り換えの時間が短い便を選んで、いつもダッシュで乗り換える。
パリ経由は一番嫌い。
無駄に広く、機能的ではない空港。今回仕方なく使ったら、行きも帰りも預け荷物のトラブル。。
そんなわけで、乗り換えには、出来るだけ小さい空港を選びたいのです。そして小一時間でささっと
乗り換えたいのです。
でも、この時期になると思い出す、あのヘルシンキの夜。(正確には昼だけど、夜のように暗い。)
いつものように待ち時間が少ない便を選んで、急ぎ足で日本行き便ゲートへ。
いつも思うんですが、この時点でもう80%くらい日本に帰ってきた気分になりますね。
出国審査を過ぎて、ゲートに近づくにつれ、一組、二組、三組、、、、と増える関西のおばちゃんグループ。
ゲートに着くと、そこはもう御堂筋。
ものすごーい心の底からの安心感を得ます。ここで何が起ころうと、この人たちなら何とかしてくれるって。
ま、逆もそう思うんですがね。ドイツ行きゲートに近づいてくると安心するというか。
でも、おばちゃんの安心感は世界一でしょう。
そんな、安心しつつある心境で向かった先には、”降雪の為、フライト遅延”
いつ飛べるかも未定ということで、お食事券が配られた。
このお食事券、一つのお店で引き換えしてしまうと、残りを他では使えないという代物。
連れがいる人なら、一枚で食事を、もう一枚でドリンクを、という使い方が出来るけど、私のように
一人者は、飲むか食べるか決めなきゃならない。
朝にパンを一切れ食べただけの私は、お腹も空いていたけど、喉の渇きが強烈で(水買おうよ)
思わず”バー”という選択をしてしまう。
もちろん使い切りたいので地ビールを二杯。親切なバーキーパーさん、”少し金額が残っちゃうから
お勧めのシュナップス(火酒)も一緒にどう?” なんて言われたら、絶対断れない。
だって、機内でアルコールは取りたくないし、もうほぼ日本です気分だし、いいかなと思って。。
なみなみの二つのグラスにシュナップスを抱えて、空いている席に向かう私を驚愕の眼差しで
見つめるおじさんの近くに座ることに。
ラガーだな。ドイツでは滅多にお目に掛かれないので、苦味があっておいしい。
おまけで付けてくれたサーモンにも合う。
さすが本場だなーなんて、初めは余裕だったのに、だんだんと様子がおかしい。
日本行きの便が遅れているということもあって、飲食コーナーには日本人がたくさんいた。
みんなグループで楽しそうに談笑している姿を見ていると、急に真っ暗な穴に突き落とされたような
とてつもない孤独感に襲われて、なぜか涙が止まらない。
一部始終を見ていた先程のおじさんは、とても困った表情。あんな小さい人間がそんなにグビグビ
飲んで大丈夫なのか?と心配しているうちに、おいおい、今度は泣き始めたよ、と。
その後、徐々に自分を取り戻して、おじさんにも大丈夫だと合図を送ったものの、自分でも
何があったのか分からない。
ムーミンの仕業か?
いや、北欧ビールはアルコール度数が高いって誰も教えてくれなかったから。
そう、ただの飲みすぎや!という話。
しかしながら、アルコールの勢いだけではないみたいですよ。
今時、ヨーロッパへも、10時間ちょっとで移動できてしまうし、行ってしまえば一生帰れないとか、
国を背負ってとか国を捨ててとか大層なことを考えてる人も少ないと思う。
日本人に至っては、海外という感覚、国境なんて感覚もなくなってきているんじゃないかな。
でもそんな中で、心身ともに、ふと、この状況に着いていけないことがよくあるそうです。
フランクフルトの空港にはキリスト教の教会とかイスラム教のモスクがあり、空港という異空間で
情緒不安定になる人が多いために設置されたと聞いたこともありますし。
と言うわけで、乗り換え時の落とし穴にはまった体験談でした。
あ、その後の機内は、もちろん爆睡でしたよー。