Thursday 3 November 2016

ドイツ人から見た、ドイツの犬、今むかし 








私が初めてドイツに来たのは、ベルリン。
その頃は自分がこの国で犬を飼うなんて思ってもみなかったのだけど、街中にわらわら居るお利口な犬たちに驚いたものだ。

すごすごとご主人様の後を人ごみを避けながらフリーで歩いている犬に衝撃を覚えた。


パーティーや人の集まるところに行っても、必ず一頭は犬が居たりして、邪魔にならないように寝転がっていたり、シッポを振って近寄ってきて、撫でてあげると笑顔を振り撒いてくれる。

大学でも、犬同伴で講義に来ている人もいて、なんなんだ~このお行儀の良さは!と、驚くばかり。

でも、はて、当のドイツ人たちはどう思っているんだろう?それが当たり前だから気にもならないのか?など、疑問に思うようになってきた。


授業に飛び入り参加したホワイトシェパードくん。学生の飼い犬。

授業中は寝る。。。


そうこうしているうちに、田舎に住むようになり、出会った飼い犬たち、


吠える吠える。

日本で言うところの大型犬が普通サイズのドイツなので、
腹の底から出てくるような「オウッオウッ」という気合の入った鳴き声。


それに、
逃亡してくる犬も頻繁。

何度捕まえて、飼い主に連絡したことか。
まぁ、逃亡ではなく、自由時間を楽しんでいただけなんだろうけど。
 

うちのアカ姉さんも例外に漏れず、ほぼ放し飼いだった。

散歩に行こうと思っても、庭に姿が見えないので、探しに行って、ご近所さんに
「3分くらい前に通って行ったよ。」と言われて、こちらもアカのコースを掴んでいたので、次に行きそうなところを辿っていくうちに、タッタッタッタと嬉しそうに近寄ってきて、一緒に散歩を続けるというのが日常だった。

ところが、私達が住んでいた集落に、新しくお嫁さんがやって来た(←過疎化しつつあるので珍しい。)
そのお嫁さんに、「あんなに大きくて怖そうな犬を放し飼いにしては困る。」と注意を受けた。

小さなお子さんもいたので、もちろん注意しなければと、私は真摯に受け止めたのだけれど、何十年も同じように猟犬を飼い続けてきた家族にとっては、「は?何もしないのに?」

それでも、苦情は受け止め、庭に柵を作って、そこで寛いでもらうことにして、散歩も一人では行かないように言い聞かせた。(←それが当たり前。)

それからしばらくして、村の集まりか何かで、そのお嫁さんの旦那さんと小さな娘さんに会ったので、「ごめんね~」と話しかけたら、「ああ、この子なら大丈夫だよ。」と言っているうちに、娘さんがアカの前に仁王立ちになって、「アカ、あっちいけ!!」と怒鳴った。

アカは耳を足れて、その場から静かに去ろうとした。

あ、犬が怖かったのは、お嫁さんだったのか?



久しぶりに登場のアカ姉さん。私が怖いですって???

いや、そうではないらしい。

そのお嫁さんは、街からやって来たので、普通の飼い犬がふらふらと歩き回っていること自体が、おかしいと感じたそうだ。

今考えてみると、それもそうだと思えるのが、その時は、初めて住むドイツの田舎で、ドイツの田舎とはそういうもんなんだとあっさり受け入れてしまっていた。


とにかく、
都会にいる犬の印象と、田舎で自由奔放に暮らす犬との印象がずいぶん違うなぁと、思うようにもなってきた。

それで、知り合った年代が少し上のドイツ人に、それとなく聞いてみると、

みんな口を揃えて言うには、

「昔の犬はひどかった。」


吠えられるし、追いかけられるし、最悪な場合、噛まれたという人も少なくない。

うちの相方も、新聞配達をしていた少年時代に、シェパードに噛まれている。
その上、「詫びの一言もなかった。」そうだ。

今なら、考えられない。近所の猫を追いかけただけで、警察沙汰になるくらいなのに。



こちらもど田舎に住む犬たち。都会とは違った意味でお利口さん。


じゃあ、どの辺で変化が現れ始めたんだろう。

あるおじ様がおっしゃるには、近年のテレビや他メディアの影響で、「犬の躾とはこういうものだ」という考えが、田舎にも浸透してきたのではないかと。

それに伴って、田舎にもドッグスクールや個人ドッグトレーナーなるものが現れはじめ、飼い主の意識が徐々に高まってきたと言う。

その他、上に書いたうちの例のように、違った考えの人が入ってくることで、変化がもたらされたというのもあるだろう。


ということは、
都市部と田舎では、犬の飼い方における考え方にかなりの格差があった、

意識の高い飼い主は、昔から存在していたけれど、全てに於いてはそうではなかったところが、徐々に浸透していった、ということなのかもしれない。


そんな取り留めもないことをふと考えた秋の夜長。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!






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8 comments:

  1. そのお嫁さんも意思がしっかりした人ですね~。

    日本でも飼い主の意識が徐々に変わってきているんだろうなぁって思います。昔は、怖いボクサーが家の前で吠えている(今なら閉じ込めらえて可哀想とおもえたかもしれないけど)ってイメージがありました。

    話が急に飛んでしまうんですが、ドイツの猟犬のリコールのトレーニングで電気ショックの首輪って使われていますか?

    アメリカだとトライアルの時、ほとんどの犬がeカラーつけて、イギリスは何もつけていないけど、eカラーをつかった訓練はされているようなんですが、eカラーの使用が禁止な地域もあるし、eカラーがない時代使っていた方法もあるはずだとおもって調べていてドイツではどうなんだろうと思いました。

    戻ってこれないときは、戻ってこなくてよい的なスタンスだと、トレーニングもいらないのかなぁとおもうんですが・・・

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    1. はい、ドイツ人全般が意思がしっかりしています(苦笑)。

      日本の場合、商業ベースの変化がすごいですよね。おやつからおもちゃから、星の数のような品揃えにびっくりします。私の子供の頃なんて、大手のドッグフードとチューイング骨くらいしかなかったですよ、、。
      まぁでも、日本だけじゃなくて世界中、ペット産業の伸び方は半端じゃないんだろうなぁ。

      私の知るかぎりでは、Eカラーは禁止されているはずです。痛みを与えるという時点で、動物愛護法に引っかかりますからね。
      ただ、もの凄い矛盾なのが、ネットで購入出来るということです。
      これはちょっと私も調べてみたいところなんですが、また何か分かったらお知らせしますね。

      実際私のやった猟犬の訓練では、使わなかったです。というか、うちの例を書くと、訓練に参加する前に、リコールやツケで歩くとかは出来るようになっているのが前提で、訓練は試験の課題に沿って練習するというものでした。なので、参加している殆どの犬が、子犬の頃から猟犬になることを前提で育てられていた犬ばかりでした。今考えると、エリート高みたいですね(笑)。
      使っていたのは、犬笛かな。右、左、ストップみたいなのはやりましたよ。

      あはは、うちのトレーナーもよく言うんですが、半分信じないでリコールするから犬は戻ってこないんだって。確かにそこまで危険な状況って、普段はないですからね。でも、ハンティングで止まったり戻ったり出来なかったら、命取りなので、他の犬やハンター全体の気合のようなものが違うと感じました。
      それは、普通の散歩では無理ですよね~(ほら、諦めてる。。)

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    2. お返事ありがとうございました~。

      道具はいらなぬ、ドイツ人の意思の強さ!ってところでしょうか。笑

      ビーチで100メートル超えるとこっちも声上げるの大変なので、犬笛考えているところです。

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    3. テレパシーで、という人も多いですよ!
      うちは無理だけどね。。。

      あとは、バイブレーション機能だけを使う人も居るみたいですが、そうすると、その商品(Eカラー)を買うことになるので、避けるべき!という人も居ます。。。難しいー

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  2. akaさん、こんにちは。

    私もまさか、自分が犬を飼うなんて思ってもいなかったくちなんですが、そのひとつに「野犬」が、あります。私が子供の頃は、野犬がいっぱいいました!子供心にコワかったですよー。こちらでも、都会から(特に、カリフォルニア)来た人たちが、犬の離し連れに衝撃を受けるようで、公園に来るなりものすごいでっかい声で「リードをしなさーーいっ!」って叫んで、居合わせた人達みんなをポカーン・・ってさせたことがあります。彼女は、当然のこと言ったとばかりの態度だったんですが、みんなそれぞれ節度を守って犬を遊ばせているのに、何を言っているの?って感じでしたよ。犬が匂いを嗅ぎに行くだけで「攻撃してきた。」と言われ・・。でもある女性が、それは飼い主の躾の問題で犬の問題ではない・・と言いきりましたね。私も、マナーの悪い飼い主と規則ですべて解決しようとする人たちが、犬社会を狭くしていると思います。それと、やはりコミュニティにはコミュニティのやり方があるわけですから、お嫁さんには悪いけど、彼女がまず理解をする必要があるのでは・・??・・と、まあ、遠い空から言っても通じないと思いますが、犬のアカさんはちゃーんとトレーニングを受けた犬なのだと、大声で伝えたい~!いつか、そのお嫁さんにもわかってもらえる日が来るといいですねー。

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    1. KAOさん、こんにちは~

      私も野犬時代(?)知ってますよー。集団で追いかけられたこともありました!怖かったですよね。捨て犬とかじゃなくて、本気の野犬。今そういう野犬を飼っていると思うと、複雑な気持ちなんですが、、。

      なるほど、やはりそちらでも格差があるんですね。
      私としては、日本とドイツの違いよりも、田舎と都会の違いの方がおおきいなぁとつくづく思っているのですよ。犬の話じゃないんですが、昨日もスーパーの駐車場で、駐車の仕方で、おばさまとおじ様が言い争っていました。文句を言った方は、都会から来られたんだと思うんですが、なんせ田舎の駐車場、サッカーが出来るくらい広いですからねー。みんな好き放題に止めているのが気に入らなかったみたいです、、。私も駐車枠なんて、目安程度に使うようになりました(^^;)

      >マナーの悪い飼い主と規則ですべて解決しようとする人たちが、犬社会を狭くしていると思います。
      私もその通りだと思っています。その中間に、どれだけたくさんの”普通の”飼い主がいることか!そして、そういう人の意見は無視されていくように思うんですよね。一番大事なのに。。。今までは、その多数の意見が通る世の中だったのが、なーんとなく、ある一部の主張で左右されているところがあるような。
      コミュニティの問題にも繋がるんですが、”普通はこういうもんなんだ”というのが、テレビとかネットなんかで直ぐに広がってしまいますからね。

      そのお嫁さんは、その後全てのことに(!)諦めがついたような感じでしたよ。私は犬と散歩するのが好きなので、犬は一人で散歩しないで欲しいのですが、今はおやっさんの元なので、また自由散歩を楽しんでいるようです。。

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  3. なかなかのギャップですね。

    都会と田舎の違いについてはわからないけれど、少なくても、田舎の昔と今の犬の飼い方は、日本でも変わってきていると思いません?

    私が小学生だったころ、近所の犬は自由に歩き回っていましたよ。(田舎に住んでいました)今はその地域でも、自由に歩いている犬を見ることはまずないと思います。

    フィンランドの田舎でも、昔はワンちゃんたちが、自由に歩き回ってたらしいですよ。でも今は、放し飼いしちゃいけないって法律もありますし、下手するとすぐ訴えられそうですからね。自由に歩かせるわけにもいかないのでしょう。

    それでもしつけに関して言えば、それがいきとどいていない犬は、今でも田舎のほうが多いかも。うちのオモなんて、近所を散歩させている分には特に問題がないものだから、ついしつけがおろそかになってしまって……
    都会に住んでいたら、きっとそうはいかなかったはずです。

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    1. 私も田舎に住んでいたので、よく分かります!
      夜になると、放し飼いになる犬とか、、(うちの犬がメスだったので、発情期は大変でした!)戸も開けっ放しだったので、ご飯時に、家に上がってくる犬とか、、確かに今では信じられない光景ですよね。

      なるほど、フィンランドでもそんな変化が見られるのですね。野良犬とかも、もちろんいないということなんでしょうか?こちらでは、放し飼いの犬がいたら、迷子犬だと思われて、施設に届けられるんです。
      あと、うちのアカは、人懐っこいので、さらわれてしまっても困るという私の意見もあって、庭に柵を作ったんです。誘拐ー身代金という、うそみたいな話もあるんですよ!
      でも、私だったら、払ってしまうかも。車が盗まれても諦めがつくけど、、、。

      確かにしつけは緩い感じがしますね。それでうちもゆっくりとしてしまっているところがあります、、、。後は、あの人口(犬の数)だと、まったく違った生活の仕方とか性格に自然となっていくような気もします。もちろん、合っている犬とそうでない犬がいると思いますが、、。
      なにはともあれ、犬の環境は良くなっていると信じたいですね。

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