Saturday, 19 October 2013

シュヴェリーン釣行記 1 Angelreise in Schwerin I






先月の末に初めての釣り遠征に出掛けてきました。

場所はシュヴェリーン(Schwerin)という、メクレンブルクフォアポメン州の州都。

ハンブルクから東に100km程の湖に囲まれた都で、その中でも最大の湖がシュヴェリーン湖。
(Schweriner See)

総面積61,54 km²、最大水深52,4 m、という私たちからすれば、もう海、大海規模です。


急に計画が持ち上がったので、下準備もそこそこに出発。

車に揺られて3時間ほどでシュヴェリーン方向の道に入る。私にとっては初めての街で、何の感慨も

なく風景を楽しんでいたのだけれど、ドイツ人の相棒にとっては二十数年ぶりの再訪。

シュヴェリーンは戦後東西に分断された東側、旧東ドイツ圏になります。

まだ壁があった頃から、ここの釣り協会はシュヴェリーン近郊の村と釣りを通して交流していたそう。

草の根運動がそんな形でも行われていたんですね。

当時小さな子供だった彼にとっては、単なる夏休みの旅行ではなく、今でも忘れられない風景が

強く記憶に残っていたそうなんですが、アウトバーンを降りて愕然としていました。

まぁ、20年も経てばどこの街も変化はあるのでしょうが、この変わり様。

至る所に建てられた広告看板、大型チェーン店が国道脇に陣取り、もちろん街灯も並んでいる。

当時は道路脇には一切何もなく、ただただタバコ畑が広がっていたそうです。



ハンブルク方面からの高速出口を降りて直ぐのインビス、軽食屋。その名は、早起きさんの店。
まさか3ユーロで人間が切った野菜の入ったスープが出てくるとは思わなかった。。高速のマクドナルドを我慢した甲斐がありました。



急に、というのはご近所に住む方から、別荘を貸していただけるという話が持ち上がったためで、

今の時期はすでにオフシーズン=釣りにとってはオンシーズン、二つ返事で引き受けました。

初めての遠征なので、真面目に釣りの許可書の申請について、値段や買える場所を探していたん

ですが、”そんなもん、あそこでは釣りなんて近所で普通に出きるよー。”なんて言われて、

向こうではそうゆう感じなのか???と、混乱してしまったのだけど、


いやぁ、着いて納得。

別荘からの風景。




庭の100段階段を降りると湖に。プライベートビーチですな。


アカも一緒に来たよ。



居間からの眺め


贅沢だー。

大きな声では言えない、でも誰もが知っている。この物件、元々の持ち主は、あの旧東の上層部の

人達であり、ドイツ統一後に手放さなければならなくなったものを、西のお金持ちがドドっと入って

きて買い荒らしたという代物です。貸してもらっておいてそんな言い方もないのですが、事実なんで。

中にはブランデンブルグにある湖をまるごと買い取ったえげつない事をする輩も出てきたりして、

当時は統一の喜びだけじゃなく、摩擦もかなりあったようです。

それにしても、畑が気になる私は、こちらのシュレーバーガルテン(貸し農園)の多さと規模の大きさ

に驚いた。畑だけではなく、家畜小屋も備えたコンパクトな自給自足農園。残念ながら、今は多くの

部分が使われていない様子でしたが。

こちらの人が当時の様子を語ってくれたことがあり、卵一個も共同の物、国家の物、みんなで

分け合って暮らしていたという、振り返れば今や無くなってしまった共同体の良い部分での精神が

体感できたというお話で感銘したことがあるのですが、

これ、どうよ。

一般市民ががんばってた時に、こんなもん建てて優雅な生活していた奴がいたんだから。

こんなシステムが長く続く訳がないわな。



なんてことを思いながらも、気持ちは釣りに。(そんな私もエゴイスト。)



明日に備えて、庭?でウォーミングアップ。



続く。








4 comments:

  1. いやーすごいですね、プライベートビーチ。
    なんですか、この真ん中に浮かぶ島は、人工?なわけ無いか。。。

    こんなものをあの時代に個人所有するなんて驚きですね。
    庶民があの手この手を使って色んなものを手に入れてたように
    やはり党員も人間ですからね。

    しかし、贅沢の度を越えてるなー。

    壁崩壊時のえげつない話、たくさん聞いてます。
    その影響は今でもあって、統一を喜んでいない人が多いのも確かです。
    じゃあ、あの東時代が良かったかというと、アレはアレでやっぱりダメなんですよねー。

    それと、スープが3ユーロとか私にしてみたら普通だけど、akaさんから
    したら安く感じるんですね。
    それは、私が西に行くとケバブが4ユーロもして驚くのと同じかな 笑

    続きのお話と、東旅行記も兼ねて楽しみにしてますよー

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    1. 隣にもここと同じような別荘がズラッと並んでいて、
      それぞれがプライベートビーチを所有しているんですが
      それって意味あるのかな?とか思いましたね。隣にすぐ人がいる訳で…

      私はメディア知識しかないのですが、雇用などの大きな部分だけでなく、
      小さな所でもまだまだ問題が残っているのですね。
      最近、統一後20年間同じ人達にアンケートを取りつづけていた
      記録というのをドキュメンタリーで見ましたが、印象に残っているのが
      ”旧東で教わってきた資本主義の姿は本当だったか?”という問いに
      90%以上の人が”Ja" と答えていました。
      私たちはこれが普通だと思っていたことが他の人から見ると
      違和感のある形なんですね。

      そう、インビスなのにプラスチックの皿とフォークじゃない、
      みたいな所も私にとっては新しかったです。
      東のインビス、開拓したくなりましたよー。^^

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  2. わー、プライベートビーチ。
    私からすると、見慣れたドイツの景色じゃない、異国の風景という感じです。

    にしても、一部の人が優雅に暮らし、市民は清貧生活を強いられていたという話、
    共産主義とか言って、結局どこでもおんなじ。。。
    この別荘、摩擦の実例としてわかりやすいです。興味深いなあ。
    東と西の間には、深くて暗い川がある~、なんて替え歌が浮かんだりして。
    統一後しばらくして、ポッと南西ドイツにやってきた私は
    ドイツはドイツ、ひとつの国家、とつい思ってしまいがちですが、
    世代、地域でずいぶん温度差があるんでしょうね。

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    1. 私にとっても異国の風景でしたよ。
      至る所に湖があって、緩やかな起伏がある。
      つくづく、この辺は平地だなぁと思いました。(起伏好きなんです。

      深くて暗い川..あ、エルベがありますよ!ほんとに深くて
      暗い(濁りがある)川で、ここの州の境で東と西を分けていたところ。
      って、比喩でしたね..すみません。

      私も普段はそんなことを考えることはないのですが、時々ドイツ人の中に
      そんな歴史をふっと感じることがありますね。
      おっしゃるとおり、世代でずいぶん変わってきている気がします。

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