Thursday, 8 January 2015

子豚をおばあさんに運び続けた犬






今日は小話を一つ。



ウチの森を挟んだお隣は、長い間、空き家でありました。
去年、やっと買い手が付き、只今改装工事中。


昔は、この家に、おばあさんが一人で住んでいました。
おばあさんは、スクールバスが着く時間になると、窓を全開にして、その前を通る子供達に、
おいでおいで、をしていました。

子供達は、おばあさんの話し相手になると、お菓子が貰えるので、交代で昔話を聞いていたそうです。

子供にとっては、全然おもしろくない話だったらしく、話の内容は誰も覚えていません。


さて、そんなおばあさんには、唯一の家族とも言える、一匹のワイヤーヘアード ダックスフントの相棒がおりました。

当時はどこの家も犬は放し飼いだったので、そのダックス君も一日中、庭で転がっているか、穴掘りをしている典型的な田舎の犬でありました。



一昨年の暮に預かっていたダックス♀
シーツが汚いのは目を瞑って…

でもこのダックス君、得意なことがありました。

それは、隣の村の養豚所に行き、そこのゴミ箱を開けることでした。

養豚所のゴミ箱には、死産したり、生き延びられなかった子豚が捨てられています。

ダックス君はその小さい体にも関わらず、自分よりも大きな子豚を、4ー5kmはある道のりを
ズルズルと引きずって、家まで持ち帰ったと言うのです。


そして、それは、一度だけではありませんでした。


村の人も、ああ、またダックス君が子豚を運んでいる、という光景を数回は見たそうです。
(証言者の数 x 数回 = 相当数)


そして、村の人も疑問だったのは、ダックス君が運んでくる子豚は、いつも新鮮だったということ。

毎日偵察に行って、新しいものをチェックしていたのか、

子豚が生まれる時の声なり、匂いなり、もしくは第六感を働かせていたのか、


今となっては誰も分かりません。



おばあさん、困ったでしょうね。私は、その後の処理とか心配してしまうんですが、村の人は

へ? そんなの庭に埋めたら終わりでしょ。



………。



えええええええーーーーーーー!!!



この辺で昔から飼われている、ぶちブタ。


新しく入った人、そのこと知ってるんでしょうか?

何言ってんの?ここだって、昔はブタにヤギに鶏にガチョウに…
ああ、もういいです。
怖いの?
ううん、怖くない。
じゃあ、いいじゃない。

まぁ、田舎の家を買うときは、覚悟して買うべきだと学びました。



それに、、、

ここの家代々の犬たちも、この庭に眠っています。


やっと写真を見ることが出来るようになった先代犬。でも涙。。


庭の、いつも寝転がっていた、それぞれのお気に入りの場所に。




そう考えると、なんとなくそれが自然な行為のようにも思えてきて、

私も同じ事をしてもらいたいなぁと。

そして、土にゆっくり還っていきたいです。 (ムリだから。。)




というわけで、みんなが仲良く眠っているという、心温まるお話でした。


あっ、おばあさんはもちろん墓地ですよ!








6 comments:

  1. ダックスが子豚を運ぶ、、、、私がイメージしてしまったのはダックスは食べる為に新鮮な豚を運んでいて お婆さんが豚肉を料理して愛犬と一緒に食べる、、、でしたが、違っていたんですね。

    我が家の先代犬達 私は庭に埋葬したかったのですが、湖に近い我が家付近はWasserschutzgebieteなので禁じられていると夫が反対、結局火葬しました。
    人間に関しては生前希望すれば 森の中の特定の場所に埋葬してくれると言うシステム?があるそうです。

    Akaさんの先代犬の写真 初めて見ました。
    やはり 逝ってしまった愛犬を思うと まだまだ思いが溢れてきますよね。

    本年もブログを通じてのお付き合いを どうそよろしく。

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    1. こちらこそ、本年も宜しくお願い致します!
      もに香さんとななちゃんの活躍ぶりを今年も楽しみにしています!!

      ダックス君は、たぶんもに香さんの想像通り、おばあさんに食べてもらうために
      一生懸命運んでいたのだと私も思います。
      結局叶わない苦労をおばあさんも犬も行っていたわけですが、二人とも幸せだったんだろうなぁと思います。

      その森に埋葬してくれるというシステム、どこかで聞いたことがあります。
      それと、、、今になって、個人で動物を埋葬して良いのか、というのも調べたくなってきました。
      たぶん、ここも駄目な気がします。。気付かせていただき、ありがとうございます!

      先代犬といっても、私は半年間、預かっていただけなのですが、当時アパート住まいの学生だったこともあり、24時間行動を共にしていました。
      そんな短くて濃い付き合いでしたが、犬を飼うことの素晴らしさを教えてくれた犬でした。(今は、苦労してますが…苦笑)

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  2. おいでおいでのおばあさん、4~5kmの道のりを、ずるずると子豚(の、ご遺体)を引きずって歩くダックス...思い浮かんだ絵がシュールすぎて、しばらくこの心温まるお話の余韻にひたっておりました。

    さすがドイツと言うべきか、いや、それ以上にakaさんのストーリーテリングの力がすごい。小話、もっと聞かせてー!とおねだりしたいです。ああ面白かった。

    これが先代のブチ犬さんなのですね。はじめまして&お写真で会えて嬉しいです。比べるつもりはなくても、付き合いの長短を問わずスペシャルな存在っている気がします。美しいレバーのブチ模様、またの登場を心待ちにしています :-)

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    1. こんなヘンテコな小話に乗っていただき、ありがとうございます!
      話だけを聞いていると、想像が出来なかったのですが、住んでみると
      そういうこともありえるかも、、と思えるようになりました。
      先日も、空き家とばかり思っていた古い洋館からおばあさんが出てきて、
      ああーーー見てしまった!!と家に飛んで帰ったのですが、ご存命とのことで、
      冷や汗を拭ったばかりです。。

      この写真も、私がお世話していたのも、老犬になってからでした。
      若い頃は猟犬として活躍すると同時に、色々とハチャメチャもやっていたそうですー。私は想像できないんですがね。。

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  3. リンドグレーンのお話にぶたのぬいぐるみが出てくるのがありまして、彼はゴミ箱に間違えて入れられちゃったりする不遇のぬいぐるみなのですが、その本の挿絵が写真のぶちブタくんにたいそう似てます。なんかこのぐんなりとしたウスヨゴレ加減が…。

    私はまだ犬とお別れの経験がないのですが、想像しただけで目頭が。いけません。しかし、犬って面白い存在です。これからもakaさん、先代犬との思い出を大事にしつつ、アカマイとの日々を満喫なさってくださいね〜。

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    1. 憶測で申し訳ありませんが、TKKGさんは、児童文学にお詳しいと、察しました。
      またなにか面白そうなお話があれば、お聞かせいただければと思います!
      (狼の石スープ、読んでみました!ドイツ人の友達も誰も知らなくて、小話として、使わせていただきましたよ。)

      私は、犬が亡くなる映画は一切見ません、というか見れません。。(エイリアンとゾンビが戦うのは見れるんですが。)
      そうですね、一日一日大切に見守っていきたいです。問題だらけですが!!

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