Tuesday 19 April 2016

噛みつき犬、シェパードのセラピー 






先日の記事に、うちの猟犬アカが犬に噛まれたことを書きましたが、
これ程犬の飼育について、法律や条例がしっかりしているドイツでも、こういったケースはポツポツとあります。


ドイツという土地柄、Gシェパードの数は見ているだけでも多い。
日本の田舎に日本犬が多いのと同じように、こちらの田舎ではシェパードがわらわら居ます。

日本でシェパードというと、警察犬とかちょっと知識のある人が飼うイメージがあるけれど、こちらでは至って普通の家庭犬。

子供の時から一緒に育ったから、性格も気質もよく知っていて、馴染みがあるからまたシェパードを飼うという人も多い。

最近こちらでも、ちらほら日本犬ブームで、柴犬や秋田犬を見かけることも多くなった。
ネット上などでは、日本犬の飼育の仕方について、討論しているのもよく見かける。

日本人の私からすれば、そんなに討論するようなものなのかなぁ、という気がするのだけれど、こちらの人は新しい犬種に夢中。あの手この手で日本犬と試行錯誤を繰り返しているのが見て取れて、なんだか微笑ましい。

そんな感じで、日本では飼うのが難しいイメージのシェパードも、扱い方を心得ている家族のもとで、のんびりと過ごしている。


他の犬が遊んでいるのに、私の足の上に座って寛ぐシェパードMixのM君。重いんですけど、、と言っても、「今日はこのヤパーネリン(日本人女性)に撫でてもらうことにしたの。」と、一行に動こうとしない。。。



ただ、それとはまったく違って、犬の性質だけを利用しようとする輩が存在する。

アカを噛んだ犬のように、飼われているのではなく、所有されている犬。

マイのトレーナーさんが扱っているのも同様のケースで問題を起こした犬が多い。
今回連れてきたシェパードのMOR君も、いわゆる”柵の中の犬”。

昼間はどこかに閉じ込められ、会社や工場が閉まる夜になると敷地内に放され、警備させるという、人間の道具として使われている犬のこと。

人間との接触はないどころか、”外の世界”をまったく知らないで、犬の一生を敷地内だけで終わらせる。

監視カメラや警備員を雇うより安上がりなんだろう。

それで、侵入者があったり、柵の外へ抜け出したりして、人を噛んだことで事件となり、ティアハイム送りとなる。


このM君も同様のケース。でも今は、トレーナーさんの二の腕となって、他の問題犬をセラピーしている。



下のビデオに出てくるMOR君も、5年間廃品工場の柵の中で過ごしてきた。

トレーナーさんのところにやって来た当初は、散歩にも行けなかったそう。
見るもの見るものに、飛び掛ろうとして、リードを軸に二足歩行でしか前に進めなかったとか。


今日初めてうちの犬を見たときも、いきなり襲いかかってきた。

マズル(口輪)を付けていたものの、私の心臓が止まるかと思ったくらいの勢い。

ところが、うちの野犬さん、「ちょっと、止めてよ!!」と、瞬時にカツッと軽く噛み、ガウガウと短く注意勧告した。

当のMOR君は、キョトンと立ったまま、「あれ?僕なんかしたっけ?」と、なんとも純粋な目で、回りをキョロキョロ見ている。


何も知らない犬って、こういう犬なんだ、、、。


それから数分ほど、何もなく、それぞれが好きなことをしていたのだけれど、
自然にマイがこのMOR君を遊びに誘った。


ちょっとぎこちないところもあるけど、追いかけごっこになっている。


トレーナーさんも初めて他の犬と遊ぶMOR君を見て、嬉しそう。


マイも他の犬によって、自分のメンタルブロックをどんどん壊していったように思う。

そして今度は他の犬を助ける。

かと思えば、今日もハシャぎすぎて、他の犬さんに喝を入れられたマイ。

流動的に関係がどんどん入れ替わり立ち替わり。


なんかいいなぁ、そういう関係、と思ってしまう人間です。

MOR君、早く新しい飼い主さんが現れるといいね。




*こぼれ話。


私とM君との間に割り込んできたMOR君。
M君は、「どうでもいいですよー。僕は何もしたくないんですー。」という感じでごろん。


この目、なんてトローンとしているのか、、。

最近、色々なシェパードと会うことが多くなって、思うのですが、
シェパード憂鬱症ってあるような。。

やる気のある日(犬)とない日(犬)の差が激しいような気がします。

この、今日は一日中グデーンとなっているM君も、普段は先頭をたって歩くタイプの犬。

まぁ、そういう日は誰にでもあるからいいんだけどね。









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8 comments:

  1. MOR君にも注意出来るって、マイちゃん、かっこいい。

    やっぱり、パワーブリードは利用されやすいですよね。MOR君には、これからはまともな世界もあることを知ってほしい。はやくよい家族が見つかりますように。

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    1. 私としては、あのハラハラ感はちょっと腰が引ける思いでしたが、うちの相方は、自分の武勇伝のようにみんなに語っていました。。。

      人間もそうですが、身体的な虐待よりも精神的な虐待は、分かり辛さから、野放しにされがちです。ほんと、一から楽しい世界を覚えていってほしいです。

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  2. マイちゃん、すごいですね。えらい!うちの犬はシェパードに噛まれた事があるので私の方が怖くて、シェパード系の犬が来ると離れるようしていました。
    でも道具のように飼われていたシャパードのお話、本当に可哀想。ドイツは犬天国だと思っていたのでそんな事が今もあるのですね。

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    1. 経験から苦手意識が出来てしまいますよね。。うちは、パグとかブルドッグ系の顔がくしゃっとした犬が苦手です。なので、私もそういう犬が近づいてくると、道を変えたりしてしまいます。
      私もそんな話は今まであまり聞いたことがなかったのですが、ティアハイムで働いている人に出会って、色々な事情を知ることが出来ました。犬を飼うための法律が厳しくなっているので、これからは減っていくとは思うのですが、今もたくさんのそういった犬がティアハイム暮らしを強制させられているのは心が痛みます。。

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  3. シェパードのお話、確かに犬の特性を考えるとそうなるのかなあ・・と思いつつも、やっぱり悲しくなりますね。うちも2人して、犬を探していた時に、近所のアニマルシェルターへ行ったのですが、大きな檻に「No Adapt」って書かれた、ジャーマンシェパードが入っていて、ものすごく吠えてました。正直、怖かったですね。あの犬、どうなったんだろう・・と思っていたのですが、もしもこうやって気長にトレーニングしてくれる人達に出会って、本当の姿が取り戻せたら、いい第2の人生が送れるでしょうね。2匹、一緒に遊んでる姿、とってもかわいくてー。本当に、よかったです。

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    1. あの吠え声、迫力ありますよね(^^;)
      小さな犬でもそれ以上に吠える犬はたくさんいるんだけど、相手にされないところがあったり。猟犬アカ姉さんも、本気で吠えると、結構怖めですもん。。
      この他にもう一匹、シェパードがいたんですが、その吠えること吠えること。うちのマイもビクビクしていたんですが、そのうち気にしなくなったので、私も気にならなくなりました。慣れもあるし、人間でもそういう人居ますよね、声が大きくて、何にでも口を出してくる人(笑)。それが理由でなかなか飼い主が見つからなかったのですが、最近お嫁に行ったそうですよ。
      そんなハッピーエンドもあるので、希望はずっと持ち続けたいですね。

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  4. おひさしぶりです。
    ブログまとめ読みさせていただきました。もうそれは読書のような形で!笑)

    動画大変興味深く拝見させていただきました。
    このDog Language。こういう動画は本当におもしろい!

    素晴らしいドッグトレーナーに出会えたようで、個人的にこれからが非常に楽しみです。

    飼い主だから自分の犬の問題を痛い程知っているし、最悪の状態も知っている。
    だから、それ以上悪くしないように、トラウマにしないように、気をつける…と逆にそのしがらみの中から抜けきれなくなったりして、無意識のうちに狭い視野しかもてなくなってしまったり…
    プロも本当にピンキリですが、それでも素晴らしいプロに出会うと、こちらが驚く姿を犬は見せてくれるものですよね。

    動物愛護の国、ドイツでも犬をガード用に飼育してるとは驚きました。
    ケベックは…警備用のシェパード&ロットワイラーを飼育し企業に貸し出すというビジネスさえ存在しています。
    車のディーラーなど、夜間敷地内に警備犬を離し、冬でさえも簡易な小屋しか与えられない警備犬が「合法」なのです。。。
    それがビジネスになってるとは、なんて時代錯誤なのかと思います…。

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    1. 鍋コさん、お忙しそうですね。そちらにはお邪魔させてもらっていましたが、コメントするのも躊躇ってしまって、、。でも、体には十分お気をつけて下さい!

      それなのに、長々とした記録を読んでいただいたようで、ありがとうです(^^)
      ドックトレーナーって、本当に不思議な職業だと思います。何というか、子供の先生探しなら、子供本位で決めたりするけど、犬の先生は、飼い主が納得するかどうかですよね。一応プロとして働いている人は、自分の方法で、犬を左右することは出来るんだけど、果たしてそれが、私と私の犬に合っているかは、また別の話だったり。
      そうですね、今回はその狭い視野を打ち砕いてくれた人が現れた!というところです。精神的に、私も犬も楽になった、これが一番の薬だったのだと思っています。まぁ、問題はまだまだ山積みですが、個性のうちですから、気長に構えて向き合っていきたいです。

      こちらでは、やっぱりシェパードは人気犬種なので、ブリーダーではなくとも、ご近所同士で繁殖させたり、事故でそうなったり(^^;)で、子犬も安く手に入ることから、利用されてしまうのだと思います。
      そんな警備犬が合法となると、どんな風に犬を飼っても良いと、誤解を招きそうですね、、。こちらでは違法ですが、なかなか証拠を掴めないので、訴えても何も処置がなされないのも現状です。。
      そもそも、犬に警備させて、何か合ったときには、その企業が訴えられたりしないのでしょうかね。まったく無意味な行為だと思ってしまいます。。

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