Tuesday, 13 May 2014

犬に噛まれた女の子








最近一緒に仕事をした女性と、天気が良くなったら、(ここ数週間sh*twetterうんこちゃん天気(ハンブルグの天気を表す言葉)の北ドイツ)

家族ぐるみで会おうと、連絡を取り合っていて、うちには犬が二匹いることを伝えると、

実は、、、と、話してくれました。



彼女の娘さんが2歳だった頃、犬に噛まれて何針も縫う大怪我をしたそうです。


長い冬と雨続きの春が去り、気持ちの良い青空と燦々と照る太陽の季節。

ドイツに住んでいると、どれだけ太陽の有難さを感じることか。

街は、今までどこに隠れていたんだかと思うくらいの人で溢れる。

そして、ドイツ人の春の一番の楽しみが、野外カフェで寛ぐこと。

この日もアイスカフェ(アイス専門のカフェ)は満員。こういう日は、競って太陽の降り注ぐ席を探し求めなくてはならない。

彼女達は店内でアイスを買って、入り口を出ようとした時に、一頭の犬がいきなり娘さんに襲いかかったそうです。

入り口に座らされていた犬の目線からすると、障害物(ドア)=死角から、いきなり子供が現れた。


こういう事件を聞く度に、犬の飼い主としては、とても悲しくなります。

避けられた事故だけに。


鼻、耳、目、をフル活用して世界を理解しようとする犬


私も犬を飼う前は、吠えたり、唸ったり、睨んだり、口元を上げて牙を見せる犬は危険だと思っていました。

危険は危険なんですが、その犬が危険なのではなく、状況が危険だと知らせる犬にとっての信号だったのに。

それを、私も含めてですが、お行儀が悪いといって、その行為自体を止めさせようとする。

そうすると、犬はそんな危険信号を送ることなく、すぐに行動に出てしまうそうです。

この犬の場合が、どういった躾を受けていたかは分からないですが、いきなりこれ程までに激しく襲いかかるということは、

極端に怖がりの犬、精神的に不安定な犬と考えられます。

健康な犬”の場合は、その前に何らかの信号(吠える、唸る)を送っていたはずですから。


何を見てるんですか? Was guckst du denn so?


そして、もっとも悲しい事実は、その犬の飼い主から放たれた言葉:
急過ぎて、どうしようも出来なかった!


犬にとっては、出入り口に、しかも知らないところで座らされることほど、居心地の悪い場所はないですよ。

ここで、私もアカを飼うまでは、勘違いをしていたうちの一人なんですが、ご主人様といろんなことを共に経験することが、犬にとっても楽しいことだと思っていました。

私が以前、一時預かっていた犬は、老犬だったので大人しく、どこへでも連れ歩いていました。

人間の歳にして、70ー80歳のおばあちゃんに、こんなに素敵な世界があるのよ!と、出しゃばって

押し付けていた自分を思い返すと、苦笑いしか出来ないですね。

それが、アカに出会い、人通りの多い見知らぬ街に連れ出した時のストレスMAXになった表情を見て、そんな思いは吹っ飛びました。

それぞれ犬によって、適応性に差があること!


今となっては、訓練の為に人通りのある遊歩道を歩かせたりはしますが、楽しさの押し付けはしなくなりました。


もう一度この事件の飼い主、

カフェが満員で、そんな臆病な犬を寛がせる場所がなければ、アイスを諦めるという選択はなかったのか?

もしくは、そういう犬にとっては、自分の寝床で留守番をして、その後に近所の散歩道をクンクンするほうがよっぽど楽しいということもあるぞ!



そしてあなたも、何が見えるんですか? Und Du! Was siehst du denn?


唯一の希望の光は、その女の子も今は4歳になり、友達の家の犬なんかには、少しずつ慣れてきたということです。

子供の信頼心の回復力はすごいですね。

そしてそれを取り戻してくれているのも、犬というのが、私にとっては涙なしには聞けないお話です。










6 comments:

  1. 人間を襲う犬イコール凶暴な犬って事になってしまいますが、 何故犬がそんな行動をしたのか? その時の犬の状況はどうだったのか? を考慮すると 違う角度から事件を見る事が出来ますね。
    アメリカでの話しだったと記憶していますが、警察官と彼のパートナーである警察犬をインタビューしていたリポーターが警察犬から顔を噛まれました。
    彼はいきなり犬に覆いかぶさるような仕草をした為、犬にとっては凄い恐怖感で取った行動だったらしいです。

    2頭飼いをしていた時、2頭全く違う性質で雄犬の方は慣れない場所ではナーバスになり橋を渡るのも嫌がりストレスを感じていたようですが、雌犬の方は飼い主と一緒なら平気というタイプでした。

    自分の犬が どういう状況においてストレスになっているのかを理解し対応出来る飼い主でなければなりませんね。
    正直 ナナには過信気味の私なのですが。。。

    知人の娘さんがakaちゃん達と戯れられる日は近いかもしれませんね。

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    1. コメントありがとうございます!

      この知人の女性も、そんな犬の行動を考慮する気配のない飼い主の態度に、ショックを受けていました。
      ドイツでは格言みたいになっている”Der tut nix!" でもお馴染みの飼い主の気持ちもよく分かります。自分の犬が問題ありと、打ち明けるのには勇気が要ります。
      でも、この警察犬の様に、いざと言うときには攻撃することを訓練されている犬には、怖い犬”というレッテルを貼っておくのも、やりすぎではないと思います。逆に犬にとっては、無闇に寄ってこられないので有難いかもしれない。。

      犬同伴に対して柔軟なドイツの社会は、今でもとても感銘を受けるのですが、この事件のように、すべての犬がこれを共有することに疑問を持ち始めているのが正直なところです。

      ナナちゃんの場合は、一歩前を行く働く犬さんなので、一般の家庭犬とはまったく違う才能の持ち主だと思いますよー。それとそれに似合った性格と。
      引き続き、トレーニング頑張ってください!

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  2. 犬を飼う前、私は犬が苦手で、正直怖かったです。それが犬を飼うようになり、犬は人間社会と動物界の狭間にいる生き物で、犬を飼うと決めた飼い主には、その微妙な立場にいる犬を理解する努力と飼育訓練する責任が要されるということを知りました。

    それを自覚して、さて、うちの犬を観察すると、まぁできることとできないことがあるな、と。そしてそこを受け入れてあげるのも必要かな、と思います。子供と同じで、強制は効きませんし。ただ訓練を続けていくことはお互いに大事なので、あきらめてはいませんが、こいつは猟犬種でびびり、ということは肝に銘じています。

    ちなみに女の子のお母さんが、咬傷事故後も娘さんと犬が関わることを拒絶しなかったのはすごいというか、ありがたいと思いました。この辺りは犬に対しての社会の懐の深さが感じられるような。ただ、事故を起こした犬がその後どうなったのか、飼い主はどうしているのか、知りたいような、知りたくないような…。やっぱりあってはならない事故ですよね。

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    1. 私は小さい頃、田舎だったので、近所は鎖に繋がれた怖そうな犬ばかりでした。
      吠えるし、うなるし、噛みつくしで、何も言われなくても、ああ今日もあの怖い犬の前を通らなきゃと思っていました。
      で、こちらで見る犬はみんなお利口なこと!ー驚きました。
      そして、犬を飼いはじめて、自分も躾をきちんとしなくてはと、始めたのは、
      他の犬が出来ることはうちの犬も出来るという間違った考え方。
      おっしゃる通り、性格や個性があるので、ある方向では限界があるということを把握してあげると、信頼関係も良くなりますよね。(あ、でも、私の欠点は滞りなく突いてきますが。。。)

      この事件のお母さんは犬に対してではなく、飼い主に憤りを今も持っているみたいです。なので、その後どうなったのかは、連絡も取りたくないと。
      その気持ちも良く分かります。

      何はともあれ、うちはまだまだ教育段階、毎日が戦いでもありますー。

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  3. ペット屋の先輩の言葉。
    動物は我々の想像以上の事をやらかす。最悪の事を考えてやっとマシぐらいに思っとけ。
    どんなに慣れた、おとなしい犬や動物でも、絶対に気を許しちゃいけないんですよね。長年、人間の飼育下といえども、やはり変わらない本能ってのがありますから。
    それに、犬によって違う個性ってやつ。これは多くの人が忘れがちなのかも。

    最近、日本でも大型犬を公園などでリード外しているの見かけます。
    制御されない大型犬って猛獣ですからね。

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    1. 良いお言葉!
      全てを想像出来たら、こんなに魅了されないですよね。
      で、悪い方向も同時に頭に入れておかないと、最終的に動物が犠牲になることが多いですから。。

      ここまで繁殖が進んで、犬の本来の個性まで殆ど消されたような犬種でも、なかなか強者が居たりしますね。
      飼い主にとっては、ショックなのかも知れませんが、掻き消されても生き延びようとする本能に私はちょっとあっぱれな気もします。

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