Saturday, 14 June 2014

ドイツからー犬をより理解するための教本








犬の躾について、あれこれ悩んでいた時に出会った本です。

ドイツでは割と認知されている教本のようですが、残念ながら、今のところドイツ語のみのようです。


簡単に説明すると、

犬は生まれながらにして、群れの中での役割(ポジション)が決まっており、それを理解することで

その犬への接し方、躾の仕方が変わってくるということ。

この本に至っては、詳しくそれぞれのポジションについての性格の違い、行動の違いが書かれています。

そもそもこの著者は、 Meutehunde (モイテフンデ)と呼ばれる、群れで狩りに使われる狩猟犬

の繁殖に、代々19世紀の初頭から携わっている家族の元、これらの基礎となる体系を学んだそうです。


初めて聞かれる方にとっては、抵抗のある考え方でもあるようです。

生まれながらにして、もう役割が決まってしまっているなんて、人間の世界に置き換えて考えると、あまりにも極端な考えなんじゃないかと。

私も始めは疑い深く読み進めましたが、なるほど! と思う節が次々に出てくるんですね。


犬の群れには7つのポジションがあり、先頭と最後尾にそれぞれリーダー、一番真ん中に主導格のリーダーがいる。

その間にそれぞれ二頭づつの舎弟というか、働き係の犬が配置されます。

これは、生まれてすぐ、母親のお乳を飲む位置からも判断できるようで、例えば、7匹以上の子犬が生まれた場合は、二重に役割が被ってしまい、後々性格上の問題になることも多いようです。

避けたい例では、早くに母親から引き離してしまった場合。役割分担が確立できないまま人間の世界に連れていかれる訳ですから、犬の精神上非常に大きな負担が伴い、後々偏った性格が形成される傾向にもあるようです。

また、このポジショニングを人間の世界に置き換えて、”上下関係”(嫌な言葉ですね)と考えるのは大きな間違い。

犬の世界は横並びで、それぞれがそれぞれの仕事を誇りを持ってこなしているんです。



さて、これに則っての実践ですが、

自分の飼っている犬をただただ眺めているだけでは、素人にとっては非常に分かり辛い。

ウチの犬は、アカは働き係、マイはリーダー格、というのは分かってきましたが、

具体的にどの位置かは、まだ判断できません。

一番分かりやすい方法は、他の犬と遊ばせた時に行動パターンを観察すること。



ということで、オルガ嬢を借りてきました。

あの気の強いオルガ、毎度のようにマイをも服従させようと試みていましたが、マイにお尻パンチを

執拗に喰らわされ、常に自分の側にいるように、仕向けられていました。

人間にとっては、犬が楽しく遊んでいるように見えますが、犬にとっては真剣勝負!



その横を、アカは呑気に行ったり来たり。

マイは執拗にオルガの教育を続けました。

これで分かったのは、オルガはリーダー格と私も思っていたのですが、そうではなかったということ。

例えば、自分に指示を与えてくれるリーダーが欠如していると、そもそも働き係だった犬がリーダーシップを取ろうと試みることが多いそうです。

そうすると、その犬は出来ない仕事を頑張って引き受けようとするので、非常に疲れてしまう。


それを、飼い主が補助してあげる=飼い主が指示を与えるリーダーになってあげると、犬に安心した生活を送らせることが出来るんですね。


逆の場合、リーダー格の犬を一頭で飼っている場合は、飼い主が働き係になってあげる。

例えば、最後尾のリーダーの場合は、自分の前に誰かいないと落ち着かないということから、散歩の時には飼い主が先頭を歩いて、この先は私が見張っているから大丈夫、という姿勢をとってあげる。



などなどなどなど、

この教本から学んだことを書き始めると、話が尽きないのですが、

ここではこういう見方もあるんだよ、というご紹介程度に。




次は、この教本を基に犬とコミュニケーションをとっているドイツの女性ドッグトレーナーの本を紹介します。










4 comments:

  1. ものすごく興味深いです
    私が飼っていた犬はたぶん親に早めに引き離されたリーダー格の犬だったのかと
    勝手に想像しています
    うちの家族全員を治めようと試みていました(笑)
    でもリーダーになるにはちょっと気が小さかったのかな?
    ああ懐かしい、また犬飼いたい!
    アカ嬢、マイペースっぽいですね、かわいいなぁ
    これからは犬を見る目が変わりそうです

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    1. 犬の世界にのめり込めばのめり込むほど、いいなぁと思う日々です。

      人間の場合、体格で差が出る場面は少ないですが、犬の場合は不利になることも多いですね。
      とはいえ、インテリジェントの差がものを言う場合も多いので、小型犬がジロッと睨んで、大型犬が尻尾を巻いて頭を低くしている場面もよく見かけます(笑)
      Naokoさんのところこそ、犬が必要だわ!と、いつも勝手に空想に耽っていますよ。毛がふさふさした大型犬で、カヌーにも一緒に乗って、森の中では番犬になって…と。

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  2. 生まれながらの7つのポジション云々、、、とても興味深いです。
    ナナはリーダー格の犬でない事は確実で、リーダーシップを取ってくれる存在を必要とし 安心するタイプですね。

    「リーダー格の犬を一頭で飼っている場合は、飼い主が働き係になってあげる」という事ですが、すると飼い主が犬のリーダーになれず家庭犬としては問題なんでは?と思ってしまうのですが、どうでしょう?
    リーダー格の犬でも 人間社会で共存するには 飼い主がさらに上のリーダーであるべきなのじゃないかなって思うんです。
    大事なのは リーダー格の犬の自尊心を上手にコントロールするって事なのかもしれませんね。

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    1. そうなんです。ここのところがとても難しい。
      この本に至っては、それぞれの役割、特徴が詳しく述べられているのみで
      それを元にトレーナーや専門家が活用、応用しているようです。
      (Rudelstellungen.eu のホームページでは、それらの応用の例などが、Forum 掲示板で垣間見れます。)
      私も強く疑問に持ったのが、この犬の群れの中で、どこに人間(飼い主)が介入してくるんだろうというところで、各々の家庭の規則にあった躾が一番先に来るのでは?と。(このForumでは、多頭飼いを推薦する方向にあります)
      でも、誰もが多頭飼い出来る訳でもなく、自分の生活に合った性格の犬を探し出すことも難しいですよね。
      なので、もに香さんのおっしゃる通り、犬は犬の世界があることを尊重しつつ、飼い主がこの群れの導き役になることが重要だというこのなんだと思います。

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