話は少し前の聖霊降臨祭(せいれいこうりんさい)ドイツ語でPfingstenに遡ります。
この辺りでは、Pfingstenbaum (フィングステンバウム)という木を立てて、お祭りをする行事があります。
ドイツ各地ではMaibaum(直訳すれば5月の木、色々な飾りをつけた木を立てるお祭り)が主流のようですが、それとはまた別ものだと最近知りました。
どちらも、地域の方々と協力しあって木を立てて、その周りでお祭りをするところまでは同じ。
毎年、うちの前が会場(ただの広っぱ)なので、強制的に参加。
こちとら、多く見積もって30世帯ほどの村。50人も集まればいいとこ。
ソーセージを焼いて、ビールを飲むだけなんですが、お年寄りの方は揃って参加されてます。
木は白樺と決まっているそう。 |
今回二人のおじいちゃんを観察してみましたが、一切会話をする気配がなく、木が立てられた時に、
”いい木だ。” ”うん、とてもいい木だ。”
とだけ言って、帰って行きました。
ま、80年も毎日顔を合わせていると、そんなに話すこともなくなるんでしょう。
そもそも、この白樺を立てる習慣は、ゲルマン人の慣わしのようで、北ドイツにはこういった習慣が多く残っているように思います。
イースターのどんと焼き(Osterfeuer)もそうらしいですし、木とか火とか、プリミティブな感じ。
さて、ここまでは当り障りのない普通のお祭りなんですが、
ここから、夜が更けてからが、問題の行事。
この祭りのある日、トラクターにトレーラーを付けて、その上に白樺の木、若者がハコ乗り状態で、
村を走り回っている光景を目にします。
みんなかなり盛り上がっている感じで、あちゃーと目を反らしたくもある光景です。
この木がどこに行くのかというと、行き先は、お目当ての女の子。
夜、寝静まった頃に、こっそりと女の子の部屋の窓に届くように立て掛けるわけです。
(田舎は大きな一軒家が多く、子供部屋はだいたい二階にあるので、それなりに大きな木が必要)
もちろん、ライバルが現れる。
先に置かれた木を退けて、自分の木を立て掛ける。
それを隠れて見ては、また自分の木に交換する。
ということを、一晩中続けるそうです。
そして、朝、女の子が目覚め、真っ白な衣装を着て、木に水をかけてくれれば、それは承諾の意。
晴れて二人は公認の仲、となるそうです。
最近では、お祭り騒ぎの一環として続いているようで、そこまで深い意味はなくなっているみたいですが、それなりに年頃の女の子はドキドキするみたいです。
でも、、、バレンタインデーとかもそうですが、その、もらえない子も出てくるわけで…
近所に住む女の子。ちょっと大人しい感じの子で、見かけもどちらかというと控えめな感じ。
事前調査でどうやら今年も木が貰えないということが判明し、
なんと、お父さんが木を調達!
うーん、、、私の耳にまで届くような噂、きっと村中の人達が知っているのではと。
ということは、遅かれ早かれ当人の女の子にも気づかれるんじゃないかと。
イヤだ、絶対イヤ。私だったらグレるな。
うちにも年頃のムスメッコが二頭も。 |
そんな女の子も今は村を出て、今年のこのお祭りには彼氏と参加してました。
めでたしめでたし?
ほんとだ!木を立てる習慣って色々ありますね。Palmsonntagで使用した木の束を庭に立てかけたり、誕生日に家の前に高い木を立てたり。バウムクーヘンを生んだ国だけありますね^^
ReplyDelete意中の女の子の家の前に、こっそり丸太を立てに行く習慣もあると聞いたことがありますが、まだ見たことがありません。それにしてもお父さんが木を調達!?なんて面白いエピソード。当事者は複雑な心境でしょうが、もし私の身におきたら絶対ブログのネタに(笑)
いつもいぷしろんさんのところのカトリックの祭事を見ていて、
Deleteこちらとの違いを楽しんでいますよー。ほんとそちらとこちらとでは、
違う民族じゃないかと思わせる違いがあっておもしろいですね。
でも、もともとはよく似た習慣だったり、普段の生活に垣間見られる
民俗学は興味をそそられます。
いぷしろんさんの旦那さんなら、びっくり好き(?)なので、きっと他にない
丸太が用意されることでしょう!